Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
だから匙を投げていうのだよ――武蔵のような男に、片想いしてどうするんだ、さらりと思い切って、御飯をたんと喰べ直せとな。――そういうよりほかないじゃないか」
「だからいいよ、くそ坊主の汝なんかに、なにも頼むといやしねえや」
「わしの言葉が、嘘だと思ったら、六条柳町の扇屋へゆき、そこで武蔵が、どうしているか、見届けて来い。そして見たままの事実を、お通さんに話してやれ。いちどは歎きかなしむだろうが、それで眼が醒めれば結構じゃ」
城太郎は耳の穴へ、指で栓をして、
「うるさい、うるさい、どん栗坊主」
「なんじゃ、わしの後を追いかけて来たくせに」
「坊主坊主、お布施はないぞ、お布施ほしけれや、唄うたえ」
沢庵の背へ、こう謡口調で罵りながら、城太郎は耳をふさいだまま、遠くなってゆく姿を見送っていた。
しかし、沢庵の影が、彼方の辻の横へかくれると城太郎の眼には、涙がせりあがって来て、それがぼろぼろと溢れ落ちるまで、ぼんやり佇んでいた。
あわてて肱を曲げ、涙の顔を横にこすると、彼は、迷っている犬の子が、急になにか思い出したように往来を見まわして、
「おばさん!」
被衣して通りかかった女房風の女のそばへ駈け寄った。