Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「いいえ」
「一人で?」
「ええ」
「お甲とはもう一緒にいないのか」
「祇園藤次を知っているでしょう」
「ウム」
「藤次とふたりで、去年の暮、世帯をたたんで他国へ逐電してしまったんです。わたしはその前からお養母さんとは別れて……」
鈴の音がかすかに顫えて鳴る。見れば袂を顔に押し当てて、朱実はいつの間にか泣いているのだった。木蔭の光線の青いせいか、それの襟あしといい細い手といい、又八の記憶にある朱実とはひどく違って来たように思われる。伊吹山の家や、よもぎの寮で、朝夕見ていたような処女の艶はどこにもない。
「――誰じゃあ? 又八」
と、うしろでお杉がいぶかって訊ねた。
又八は振顧って、
「おふくろにも、いつか話したことがあるだろう。あの……お甲の養女さ」
「その養女が、なんでわしらの話を窓の外で立ち聞きなどしていたのじゃ」
「なにもそう悪く取らなくてもいいやな。この旅籠に泊り合せていたのだから、何気なく立ち寄ってみたまでのことだろう。……なあ朱実」
「え、そうなんです。まさか、ここに又八さんがいようなんて、夢にもあたし知らなかった。……ただ、いつぞや、ここへ迷れて来た時に、お通という人は見かけたけれど」