Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
おのれの身についているにおいというものは、誰でも自分には分らないものに違いないが、武蔵はそういわれて、卒然と、自分の影にこびりついている妖気と血なまぐささに気づいた。そして、この老母の澄んだ感覚に、かつて知らない羞恥をおぼえた。
「武者修行どの」
光悦は、それを見のがさなかった。武蔵の烱々と光っている異様な眼ざしだの、油気のない殺伐な髪の毛だの――体のどこを触れても斬れそうな様子をしているこの青年に、彼はなにかしら、愛せるものを見出しているらしいのである。
「おいそぎでなくば、少しおやすみなさらぬか。まことに静寂でござりますぞ、黙っていても、清々と、よい気もちで、心が空の青さに溶けてゆくような」
老母もまた、共に、
「もすこし菜を摘んだら、やがて草粥を炊いて、馳走しよう。お嫌いでなくば、茶も一ぷくまいらせよう程に……」
とこの母子の間に交じわっていると武蔵は、自分のからだに生えている殺気の棘が除れてゆくように気が和んでくる。他人の中とは思われない温か味なのだ。――いつとはなく草鞋を解いて毛氈のうえに坐ってしまう。
うち解けて、だんだん聞いてみると、この老母は妙秀といって、都でもかくれのない賢婦人であるし、息子の光悦も、本阿弥の辻に住む有名な芸林の名匠で、まぎれもなくあの本阿弥光悦であることがわかってくる。