Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「やあ」
近づきながらこう親しそうに小次郎は声をかけた。そして、武蔵の姿をじっと見、また舟橋のほうを見渡してから、
「お一人か」
といった。
武蔵は頷いて、
「一人です」
と、当然のようにいう。
挨拶が少し前後している。それから小次郎は改めていった。
「いつぞやの夜は失礼いたした。不行届な扱いを受けて下すって、有難くぞんじています」
「いやその折はどうも」
「さて、――これから約束の場所へ赴かれるのか」
「はい」
「お一人で?」
諄いと、承知しながら、小次郎はまたたずねた。
「一人です」
武蔵の返辞も、前と同じであったのが、かえって、小次郎の耳にはよく聞えた。
「ふふむ……そうですか。しかし武蔵どの、貴所はこの間、この小次郎が誌して六条へ建てたあの公約の高札表を、なにか、読みちがえてはおられぬか」
「いいやべつに」
「でもあの高札文には、この前の清十郎とそこ許との試合のように一名と一名に限るとは書いてないのでござるぞ」
「わかっております」
「――吉岡方の名目人は幼少のただ名だけのもの。あとは一門遺弟となっている。遺弟といえば、十人も遺弟、百人も遺弟、千人も……であるが、その点抜かられたな」