Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
それほどわしはお通さんに囚われていた。無性にお通さんには恋していた。――けれど。――けれどそんな時でも人知れず剣を抜いて見ていると、狂おしい血も水のように澄んでしまい、お通さんの影も、霧のようにわしの脳裡から薄れてしまう……」
「…………」
お通はなにかいおうとした。蔓草の白い花みたいに、嗚咽していた面をあげたが、武蔵の顔が、恐ろしいほど真面目な熱情に硬ばっているのを見ると、息づまって、再び地へ顔を打ち伏せてしまった。
「――そしてまた、わしは剣の道へ、身も心も打ち込んで行ったのだ。お通さん、この境が、武蔵の本心だった。つまり恋慕と精進の道のふた筋に足かけて、迷いに迷い、悩みに悩みながら、今日までどうやら剣の方へ身を引き摺って来た武蔵だった。――だからわしは、誰より自分をよく知っている。わしは偉い男でも天才でもなんでもない。ただお通さんよりも、剣の方が少し好きなのだ。恋には死にきれないが、剣の道にはいつ死んでもいい気がするだけなのだ」
なにもかも正直に――少しの嘘もなく、武蔵は自分の本心を――心の奥底まで、今こそいってしまおうとするのであったが、いたずらに、言葉の美飾と、感情の顫えのみが勝ってしまって、まだまだ、正直にいいきれないものが、胸につかえているようでならなかった。