Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
しかし、いおうとすることのいえない――弱さの美しさ――単純なる複雑さ――に対して、武蔵も乱れずにいられなかった。彼の恐れている自分の性格の中の最も大きな弱点が、今、暴風のなかの根の弱い木みたいに揺すぶられていた。ともすればここまで持ち続けて来た「道への節操」も、地崩れのように、彼女の涙とともに泥になってなだれてしまいそうな気持がする。その気持を彼は恐怖する。
「わかったか」
武蔵が、ただいう言葉のためにそういうと、
「わかりました」
お通は微かに――
「けれど、わたくしはやはり、あなたがお死にになれば、後から死にます。男のあなたが、欣んで死ぬる以上に、女のわたくしにも、死の意味が抱いて逝かれるのでございます。けっして虫のように――また一時の悲しみに溺れて死ぬのではございません。ですから、それだけはお通の心にまかせておいて下さいませ」
乱れずにいった。
そして、もう一言、
「あなたは、わたくしのような者でも、心のうちだけでも、妻としてゆるして下さいますでしょうね。もう、それだけでわたくしは、すべての望みが満ち足りました。……この気持、大きな歓び、それはわたくしだけの持っていられる幸福です。