Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
て故郷の土産にしようというだけのものじゃねえか、大事も大変もあるものか」
「ままよいわ、ここで汝が身と、母子喧嘩をしてみても始まるまいでの」
歩き出すと――又八はぶつぶつ独り語に、
「ああ、ばかばかしいな。他人の殺した死骸から証を貰って、これでめでたく本懐を達してございと故郷へ帰って披露する。故郷の奴らは、どうせあの山国、他へ出たことのない人間ばかり、本気になって目出度がることだろうが……嫌だなあ、またあの山国で暮すのは、考え出してもぶるぶるだ」
灘の酒だの都の女だの、又八の知った都会生活のあらゆるものが彼に未練をささやいてやまなかった。まして彼にはまだそれ以上の執着がこの都会にある。あわよくば、武蔵の歩いた道以外の道を見つけ、とんとん拍子に立身して、まだ不足な物質の世界の体験にその身を飽満させて、人間の生れがいをそこに自覚してみたいという――彼らしい希望さえまだ決して捨ててはいない。
(ああ嫌だ。ここから見てさえ町中が恋しい)
いつの間にやらまた、お杉婆はだいぶ後に取り残されていた。宿を立つ前から体が懈い懈いといっていたが、まったく幾らか体の調子が悪いのかも知れない。