Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
石魚突きの寝泊りする石魚小屋かも知れない。ほんの人間ひとり入れるぐらいなほッ建小屋がそこにある。――その小屋の後ろに這い屈まっている人間の白い顔と手とをちらと見たのである。
「……女だ?」
又八は、岩の蔭にかくれた。さっきの悲鳴も、女のであればこそ彼は猟奇な興奮に駆られたのである。男の声であったら最初からこんな沢へ降りては来ないだろう。――それが今、その正体を窺ってみると、確かに女で、しかも若いらしい。
――何をしているのか?
と最初は疑っていたが、見ていると、疑いはすぐ解けた。女は、流れのそばへ這い寄って、白い掌に水を掬って、唇へ移しているのであった。
三
びくっと、女は鋭感に振り顧った。又八の跫音を、昆虫のように体で感じて、すぐ起ちかけそうな眼であった。
「――おやっ?」
又八が、声を放つと、
「あっ?」
女も同じように驚いていった。しかしそれは、恐怖から救われたような声だった。
「朱実じゃねえか」
「……あ、あ」
そこの谷川で飲んだ水が、やっと今、胸へ下がったように、朱実は大きく息をついた。
けれどまだ何処かおどおどしているその肩をつかまえて、
「どうしたんだ朱実」