Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「な、な、なにをッ」
「く、くッ! ……」
言葉にならない言葉の切れ端を歯の根から力み出したりして、どうにかぎらぎら抜きつれた刀と槍の幾筋とが、武蔵へ向って半円を備えかけたかと見えた時、当の武蔵は、
「約定によって、生国美作の郷士宮本無二斎の一子武蔵、試合に出て参りました。名目人源次郎どのはいずれにおわすか。前の清十郎殿や伝七郎殿のごとき御不覚あるなよっ。ご幼少とのことゆえ助人は何十人たりとも存意のまま認めおく。ただし武蔵はかくの如く唯一名にて参ったり。一人一人かからるるとも、総がかりに来られるともそれも勝手。いでやっ!」
と、凛々、こういい放つ。
正しく挨拶されたのも彼らにはまた意外だった。礼儀に対して礼儀を取らない恥は骨身にこたえたらしいが、平常のそれとは違って、この場合のそれは十分な余裕というものからでなければ生れて来ない。口の唾さえ途端に渇いている舌では、
「遅いぞッ、武蔵っ」
「怯れたかっ」
ぐらいなことしかいえなかった。
にも関わらず、武蔵が、唯一名にて参ったりという言葉だけは確かに受け取って、そうだ相手は一名なのだと、急に強味が甦ってきたらしくも見える。