Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
どう見ても呼吸をしている顔ではない。木の根につまずくか、一すじの縄でもその足にからめばもんどり打ってしまうことは確かだと思う。しかし、死相をおびている人間の手許へはいって、死出の道づれになるのは誰も嫌だった。そのためにわッわッと刀や槍で押してゆきながらも、無数のそれが皆、武蔵の胸、小手、膝などへわずか二、三寸ずつ切ッ先の寸伸びが足りなかった。
「あッ――?」
不意にまた、彼らは眼前の武蔵を見失って、そこの狭い道幅とたった一人の相手には、余剰すぎる大勢の力を持て余して、自ら揉み返した。
――といってもべつに武蔵が、足に風を起して駈けたわけでも、樹の上に跳び上がったわけでもない。ただ、彼がたった一跳び、その道から藪の中へ身を反らしたに過ぎないのである。
土のやわらかい孟宗竹の密林だった。青い縞目を縫って飛ぶ鳥影のような武蔵の姿に、チカッと、金色の光が刎ねた。朝の太陽がいつのまにか叡山連峰の山間から、つと真っ紅な櫛形の角をあらわしているのだった。
「待てッ。武蔵」
「醜し!」
「背を見せる法やあるっ」
思い思いに、大勢は竹と竹のあいだを駈けた。武蔵はもう藪の外れの小川を跳びこえている。