Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
――なに、冷酒でいい、そこの大きな桝で」
「お客様、だいじょうぶでございますか、お顔いろがすこし」
「ばかをいえ、顔の青くなるのはおれの持ちまえだ」
もうこの桝で何度飲んだろう。飲んだ当人よりも、おやじの方が忘れているくらいである。喉を通ってゆく酒は一息だった。
飲みほすと、また黙然と、壁に倚りかかって腕ぐみしているのだ。あれだけの量を飲み、足元には炉の炎が立っているのにまだ顔には色が出ない酒だった。
(――なあに、おれだって今にやってみせる、なにも、人間成功するには、剣とは限るまい。金持になろうが、位持になろうが、やくざになろうが、その道での一国一城の主になれやあいいんだろう。おれも武蔵もまだ二十二だ、早く世間へ名を売ったやつに、大成した人間は少ねえ。天才だとか、なんとか思い上がって、三十ごろにもなれば、もうよぼよぼしてしまう、父っちゃん小僧というところが、そういう人間の極り相場だ)
耳にも聞きたくないと思いながら、腹ではそんな反感を繰返していた。今度のうわさを、大坂表で聞くとすぐ、京都へ足を向けて来たのも、べつになんの目的があるというわけでもない、ただ武蔵が気になってならないので、その後の様子を見に来ただけのことに過ぎない。