Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「なんでございますか。わたくしには降りる用はございませんが」
「なに」
又八は、側へ来て、その袂をつかみ、
「なんでもいいから降りろっ。お前にはなくても、俺には用があるのだ」
声で脅すように、往来の見得もなく、そう呶鳴った。
――と、それまでは、黙って見ていた城太郎が、牛の手綱を捨てて不意に、
「嫌だっていうもの、無理じゃないか!」
又八に負けない声を出していっただけならよいが、手を出して、相手の胸いたを突いたから納まらない。
「おやっ――此奴」
又八は、踏み蹌いた足を、草履の緒へかけ直すと、尻込みする城太郎へ、物々しい肩を昂げて、
「なんだか、見たような鼻くそだと思ったら、てめえは北野の酒屋にいた小僧ッ子だな」
「大きなお世話だ。自分こそあの頃は、よもぎの寮のお甲っていうおかみさんに、いつも叱られて、小っちゃくなっていたくせに」
これは又八に取って何をいわれるより痛かったに違いない。ましてお通をそこにおいてはである。
「このチビ」
掴みかかると、城太郎はすばやく、牛の鼻先から向う側へ逃げ廻って、
「おいらが鼻くそなら、自分なんか何だい。鼻の下の長い洟たれだろう」