Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

その内儀さんの話によると、もう星の白い宵の時刻、旅人の影も途絶え、並木の風ばかりが淋しい道を、おいおいと泣き声あげながら、向う見ずに素ッ飛んでゆく小僧がある。

手も顔も泥まみれのままで、腰には木刀を差し、藪原の宿場の方へ駈けて行くので、内儀さんがどうしたのかと訊いてやると、

(代官所はどこにあるか教えておくれ)

となお泣いていう。

代官所へ何しに行くかと、根を掘って訊くと、

(連れの者が、悪者に攫われて行ったから、奪り返してもらうんだ)

との答え。

それならば代官所へ行ってもむだなことだ。お役所という所は、誰か偉い人が旅で通るとか、上からのお吩咐けとでもあれば、てんてこ舞して、道の馬糞を取って砂まで撒くが、弱い者の訴えなどに、どうして本気に耳をかして捜してなどくれるものか。

殊に、女が誘拐されたとか、追剥にあって裸にされたとかいう小事件は、街道筋には朝に夕にあることで、めずらしくもなんともない。

それよりは藪原の宿一つ先へ越して、奈良井まで行くとよい。町の四ツ辻だからすぐ知れる所に奈良井の大蔵さんというて、お百草を薬にして卸している問屋がある。その大蔵さんにわけをいうて頼めば、この人はお役所と反対に、弱い者のいうことほど、親切に聞いてもくれるし、正しいことなら、人のために身銭を切ってなんでもひき受けてくれる