Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

「……あ。いい按配」

ほっとして、それには胸を撫でたが、又八の気持はまだ落着きを得なかった。

お通の体は今、自分の手の中にあるが、お通の心はまだ自分の物となりきれない。心のない肉体だけを持ち歩いていることの実に大変な辛労であるということを、彼はつぶさに宵から経験した。

無理に――暴力をもっても、彼女のすべてを、自分のものにしてしまおうとすると、お通は死の血相を見せるのであった。舌をかみ切って死のうとするのである。それくらいなことはきっとやるお通であることは幼少から知っている又八なので、

(殺しては)

と、つい盲目な力も情慾も挫けてしまう。

(どうして俺をこんなに嫌い、武蔵を飽くまで慕うのだろうか。――以前は、彼女の心のなかに、俺と武蔵はちょうどあべこべであったものを)

又八は、分らなかった。武蔵より自分の方が、女に好かれる素質を持っているのに――という自信がどこかにある。事実彼は、お甲を始め、幾多の女に、そうした経験がある。

これはやはり武蔵が、最初にお通の心を誘惑し、手なずけてからは、折あるごとに、自分を悪くいって、お通につよい嫌悪を抱かせるようにしたためにちがいない。