Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
そして着物の上から――彼女の二の腕のあたりを、がぶっと、深く噛みついた。
――ひいイっ、お通は思わず悲鳴をあげた。
身を床にもがいて暴れた。そして、彼の歯をぎ離そうとするほど、彼の歯の尖を肉へ深く入れてしまった。
淋漓たる血しおが、小袖の下を這って、縛られている手の指先までぽとぽと垂れてきた。
又八は、それでもなお、鰐のような唇を離さなかった。
「…………」
お通の顔は、月明りでも受けているように、見るまに白くなってしまった。又八はぎょッとして、唇を離し、そして彼女の顔の猿ぐつわを脱って、彼女の唇を調べてみた。――もしや舌でも噛み切ったのではなかろうかと。
余りの痛さに、喪心したのであろう、鏡の曇りのような薄い汗が顔に浮いていたが、唇の中にはなんの異常もなかった。
「……おいっ、堪忍しろ。……お通、お通」
身を揺すぶると、お通は、われにかえったが、途端に、ふたたび体を床に転ばせて、
「痛い。……痛い。……城太さアん、城太さあん! ……」
と、うつつに叫び出した。
「痛てえか」
又八は、自分も蒼白になって肩で息をつきながらいった。
「血は止まっても、歯型の痣は何年も消えることじゃねえ。