Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
武蔵は防風林の垣を出て、駒の裾野の畑道を、もう大股に歩いていた。
片方の耳はひどく冷たいが、今朝は鮮らかに全姿を見せている駒の頂から落ちてくる風に、足元から払われて行くと、ゆうべからの疲れも焦躁も颯っと遠方のものになってしまう。
仰ぐと、雲が遊んでいる。
ちぎれちぎれな無数の白い綿雲。各※(二の字点、1-2-22)が、各※(二の字点、1-2-22)の相を持ち、気ままに自由に屈託なく、碧空をわがもの顔に戯れてゆく。
「――焦心るまい、あまりこだわるまい。会うも別れるも、天地の何ものかがさせている力だ。幼い城太郎にも、弱いお通にも、幼ければ幼いなりに、弱ければ弱いなりに、世間のなかの――それが神だともいえる――善性の人の加護があるであろう」
昨日から迷れかけた――いや、馬籠の女滝男滝からずっと外れがちに彷徨ってばかりいた武蔵の心が――ふしぎにも今朝は、自分の歩むべき大道へ、しっかと返っている心地だった。お通は? ――城太郎は? ――とか、そんな眼の傍のことのみでなく、死後の先までかけている生涯の道の行く手がこの朝――、彼には見えていた。
午刻過ぎごろ。