Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
武蔵は、悲しくなる。いや富士の悠久と優美を見ていると、それが口惜しくなってくる。
畢竟、人間は人間の限度にしか生きられない。自然の悠久は真似ようとて真似られない。自己より偉大なるものが厳然と自己の上にある。それ以下の者が人間なのだ。武蔵は、富士と対等に立っていることが恐くなった。彼はいつのまにか地上にひざまずいていた。
「…………」
そして合掌していた。
合わされたふたつの掌を通して、彼は母の冥福を祈った。国土の恩を感謝した。お通や城太郎の無事を祈った。また神の天地のごとく、偉大なるわけにはゆかないが、人間として、小ならば小なりに偉くなりたい――と自己の希望をも心のそこで祈った。
「…………」
なお、彼は掌をあわせていた。
すると、
――ばか、なぜ人間が小さい。
と、いう声がした。
――人間の眼に映って初めて自然は偉大なのである。人間の心に通じ得て初めて神の存在はあるのだ。だから、人間こそは、最も巨きな顕現と行動をする――しかも生きたる霊物ではないか。
――おまえという人間と、神、また宇宙というものとは、決して遠くない。おまえのさしている三尺の刀を通してすら届きうるほど近くにあるのだ。