Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

その権之助以上、蒼ざめた形相となって、松の根がたから凝視していた老母が、

「権ッ」

と、さけんだのである。

権――と絶叫した瞬間に老母はわれを忘れていたに違いない。坐っていた腰を伸び上げて、その腰を自分で強かに打ちながら、

「腰じゃわえ!」

と罵って、そのまま血でも吐いたのか、前へのめってしまった。

武蔵も権之助も、ふたりとも石に化るまで離れそうにも見えなかった杖と刀が、とたんに、噛み合ったせつなよりも凄まじい力を持って、ぱッと離れた。

武蔵の方からである。

退いたのも、二尺や三尺ではない。右か左か、どっちかの踵が、土を掘ったような勢いであった。その反動、彼の体は七尺も後ろへ移っていた。

しかし、その距離は、権之助の飛躍と、四尺の杖に、すぐ迫られて、

「――あッ」

と、武蔵は辛くも横へ払い退けた。

死地から攻勢に立ったとたんに払い捨てられたので、権之助は、頭を大地へ突っこむような勢いで、だッと、前へのめった。そして、強敵に会った隼が、死にもの狂いとなったように、髪逆立てた武蔵の眼の前に、明らかに、空いている背中を曝してしまった。

一本の雨のような細い閃光が、その背を切った。