Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「――そうだ、こんな物も、懐中に持っていると、どんな疑いをかけられるかもしれねえ。いっそ捨ててしまおうか」
中条流の印可目録を、着物のうえから触ってみながら考えた。いつも胴巻の中に突っ張っている巻物がそれだった。持って歩くにも相当厄介な品である。
――だが、又八はすぐ、惜しいとも思う。すでに金は一文もないし、身に持っている財産といえばその巻物一つだった。なんとかこれを種にして、出世の蔓とはゆかないまでも、体の売れ口はないものかと僥倖をたのむ気持が、そのために、赤壁八十馬にうまうまと詐欺にかかった後までも、いまだに量見からなくなっていない。
その印可に書いてある佐々木小次郎の名を詐称って歩くと、かなり都合のよい時もある。無名の小さい道場とか、剣術ずきの町人などに示すと、多大な尊敬をうけた上に、一宿一飯の礼儀は黙っていても先からとってくる。この正月の半月などは、ほとんどその巻物で食って歩いたといってもよい。
「なにも、捨ててしまうには当るまい。おれはだんだん気が小さくなるようだ。その気の小さいのが出世の邪げかもしれないぞ。武蔵のように、太くなろう。天下を取った奴をみろ」