Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

「――あッ」

引金に懸けた指は、もちろん、正確を失っていた。どうんと、弾は空へ走って、ただ大きな谺を呼んだ。

ばらばらっと、二人は引っ返して、谿川ぞいに逃げ出した。武蔵が追いかけてゆくと、業腹になったものか、

「やいやい、逃げる奴があるものか、相手はひとり、この藤次だけでも片づくが、引っ返して助太刀しろ」

鉄砲を持たない方がけなげにもこういって立ち止まった。

自分で藤次と名乗っているし、物腰から見ても、これが山寨に住む賊の頭目であろう。

呼び返されて子分か分らぬが、もう一名の賊は、それに励まされて、

「おうっ」

と答え、火縄を抛りすてたと思うと、鉄砲を逆手にして、これも武蔵へかかって来た。

武蔵はすぐ感じた。これはそう根からの野武士ではない。わけても、山刀を揮って来た男の腕に多少筋がある。

――だが、彼のそばへ近づくと、賊の二人とも、一撃に刎ね飛ばされたように見えた。鉄砲を持った方の男は、完全に肩から袈裟にふかく割りこまれて、渓流の縁から、だらんと半身落ちかけている。

口程もなく、藤次と名乗った賊の頭目は、小手の傷を抑えながら、逃足早く、沢から上へ駆け上ってゆく。