Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
わたし達も、何とか、人中へ出る算段をして、もう少し人間らしい暮しをしようじゃありませんか。あの娘でも捕まえれば、また何とか商売の思案もあろうというものだし……」
「うむ、うむ」
と藤次は、膝を抱えて、生返辞を与えていた。
この男もまた、この女と同棲してみて、先にこの女から捨てられた本位田又八と、同じような後悔を、もう抱いているのではあるまいか。
武蔵は、藤次の顔が気の毒に見えた。そして又八の身を憐れみ――やがては自分も一度この女の招く魔の淵に誘われたことなども思い出されて、ふと肌がそそけ立つ思いがした。
「――雨ですか、あの音は」
武蔵が、黒い屋根を仰ぐと、お甲はほんのり酔ったながし眼で、
「いいえ、風がつよいから、木の葉や、木の小枝が、折れては降って来るんですよ、山の中というものは、夜になると、何か降らない晩はない。――月は出ても、星は見えても、木の葉が降ったり、山土がぶつけて来たり、霧が降ったり、滝の水がしぶいて来たり」
「おい」
藤次は、顔を上げて、
「――もうじきに夜が白んで来る頃だ。おつかれだろうから、あちらへ寝道具をのべて、おやすみになるようにしたらどうだ」