Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
と、お直は叱るし、
「おまえさん、黙って横道へ行っちゃいけないよ。逃げるつもりならいいけれど」
と、朋輩の女郎たちはいかに心配したかということを、さも大仰にいって、たしなめる。
「でもネ……」
と、朱実は、叱られても、怒られても、笑ってばかりいた。
「わたしの知った人が通ったから、会うのは嫌でしょう、だから、後ろの藪の中へ、あわてて隠れてしまったの。そしたら、下が崖で、この通り辷っちまって……」
着物を破いたことだの、肱をすりむいたことばかりいって、済みませんとはいっているが、少しも済まないような顔つきはしていない。
先に歩いていた甚内は、ふと小耳にはさんで、
「おい、娘っ子」
「わたしですか」
「ああ、朱実といったっけな。覚えにくい名前だな。ほんとに女郎衆になる気なら、もっと、呼びいい名にしなくちゃ困るが、おめえほんとに遊女になる覚悟か」
「遊女になるのに、覚悟なんているでしょうか」
「ひと月勤めてみて、いやになったら、やめるというような理にはゆかないからなあ。何しろ遊女になったら、客の求めることは嫌応はいえないのだ。それだけの決心がなくちゃ困る」
「どうせ、わたしなんか、女の大事な生命ともいうものを、男の奴に、滅茶苦茶にされたんですから――」