Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
――もっとも、ずっと隅田川の河原寄りなら幾らかありやすがね」
「ほんとに、八百坪あるのかい、この地面は」
「だから念のために、縄を引いてごらんなすって」
四、五名の町人どうしで、頻りと、土地売買の取引をしているのだった。
その値だんを、往来ごしに聞いて、お杉ばばは、眼をまろくした。田舎なら米のできる田が何十枚という値が、ここの一坪か二坪の値だった。
江戸の町人のあいだには今、熱病のように、土地売買の思惑が行われているので、こんな風景は、随所に見られるのであったが、
「米も実らなければ、町なかでもない地面を、どうしてここらの衆はあんなに買うのか」
と、彼女には、不思議でならなかった。
そのうちに取引の相談がまとまったのであろう。埋地に立っていた人影は、手打ちをして散らかって行った。
「――おやっ?」
ぼんやりと、そんな物を見ているうちに、誰か背後へ来て、自分の帯へ手を入れた者があるので、ばばはその手を掴んで、
「泥棒っ」
と、さけんだ。
小出しの財布はもう帯の間を抜けて、土工か駕かきらしい男の手に掴まれたまま、往来の方へ飛んでいた。
「――泥棒じゃっ」
自分の首を持って行かれたように、ばばは追い縋って、男の腰へしがみついた。