Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
遠くは、治承の昔、源頼朝が、伊豆から渡って、関東の兵をあつめたのもこの河原。――また、南朝の御世の頃、新田武蔵守が小手指ヶ原の合戦から駈け渡って、足利方の矢かぜを浴びたのもこの辺りだし――近くは、天正の頃、太田道灌の一族だの、千葉氏の一党が、幾たびも興り、幾度も亡んだ跡が――この先の石浜の河原だそうな」
話しながら、歩き出すと、菰の十郎とお稚児のふたりは、もう浅草寺の御堂の縁へ行って、先に腰かけている。
見れば、寺とは名のみの、ひどい茅葺堂が一宇と、僧の住むあばら屋が、堂の裏にあるだけに過ぎない。
「……なんじゃ、これが江戸の衆がよくいう金龍山浅草寺かいな」
ばばは、一応失望した。
奈良京都あたりの古い文化の遺跡を見た眼には、余りにも原始的であった。
大川の水は、洪水の時、森の根を洗って浸るとみえ、御堂のすぐ側まで、平常でも、支れ水がひたひたと寄せていた。御堂を囲む木は皆、千年も年経ったような喬木であった。――何処かでその喬木を仆す斧の音が、怪鳥でも啼くように、時々、コーン、コーンとひびく。
「やあ、おいでなされ」
不意に、頭の上で、挨拶する声が聞えた。