Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
そしてやがてのこと、晃々と刎ね返す光と研水のしずくを拭いあげて、
「おじさん」
と此方を見て訊ねた。
「これでね、おじさん。人間の胴中が、二つに斬れる?」
「……さ。腕に依るが」
「腕なら、おらにだっておぼえがある」
「一体、誰を斬るのか」
「おらのお父さんを」
「何……?」
武蔵は、愕いて、思わずそこの板戸を開け、
「童。戯れにいったか」
「だれが、冗談など、いうものか」
「父を斬る? ……それが本気ならおまえは人間の子ではない。こんな曠野の一ツ家に、野鼠か土蜂のように育った子にせよ、親とは何かぐらいなことは、自然分っていなければならない。……獣にすら親子の本能はあるに、おまえは親を斬るために、その刀を研いでいた」
「ああ……。だけど、斬らなければ、持って行けないもの」
「どこへ」
「山のお墓へ」
「……え?」
武蔵は改めて眼を壁の隅へ向けた。先刻からそこに気になるものを見ていたが、まさか、少年の父の死骸とは思いもつかなかったのである。熟視すると、死骸には、木の枕をさせ、上から汚い百姓着がかぶせてある。そして一碗の飯と水と――さっき武蔵にもくれた泥鰌の煮たのが木皿に盛って供えてある。