Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

(もし、あれで悪くでもなったら――)

と、武蔵は、いつもそれが、自分の責任でもあるかのように、胸をいためている。

――しかし、そういう結果ばかり考えたら、結局人生は、一歩も、あるくことが出来ない。自分の寸前さえ分らないのである。ましてや、人間の子、ましてや、育ってゆく少年の先のこと、誰が、保証できよう。また、傍の意志をもって、どうしよう、こうしようと思うことからして、むりである。

(ただ、本来の素質を、研かせて、よい方へ歩む導きをしてやるだけなら――)

それならば、できると彼も思う。また、それでいいのだと、自身に答えた。

「ね、おじさん、だめかい、いやかい」

三之助は強請む。

武蔵は、そこでいった。

「三之助、おまえは、一生涯、馬子になっていたいか、侍になりたいか」

「それやあ、侍になりたいさ」

「わしの弟子になって、わしと一緒に、どんな苦しいことでもできるか」

すると、三之助は、いきなり手綱を放り出した。何をするのかと見ていると、露草の中に坐って、馬の顔の下から、武蔵へ両手をついていった。

「どうか、お願いです。おらを侍にしてください。それは死んだお父さんもいい暮していたんだけど……きょうまで、そういって、頼む人がなかったんです」