Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

翌日も雨。次の日も雨。

それがやむと、野は湖水になっていた。伊織は、むしろ欣んで、

「先生、今日も」

と、書を出しかけると、

「書はもういい」

「なぜ」

「あれをみろ」

武蔵は、濁流を指さして、

「河の中の魚になると、河が見えない。余り書物に囚われて書物の虫になってしまうと、生きた文字も見えなくなり、社会にもかえって暗い人間になる。――だから今日は、暢気に遊べ、おれも遊ぼう」

「だって、きょうはまだ、外へも出られないぜ」

「――こうして」

と、武蔵はごろりと横になって手枕をかいながら、

「おまえも、寝ころべ」

「おらも、寝るのか」

「起きているとも、足を投げ出すとも、好きにして」

「そして何するんだい」

「話をしてやろう」

「欣しいなあ」

と、伊織は、腹這いになって、魚の尾のように、足をばたばたさせ、

「何の話?」

「そうだな……」

武蔵は自分の少年時代を胸にうかべ、少年の好きそうな合戦の話をした。

多くは源平盛衰記などで聞き覚えた物語である。源氏の没落から平家の全盛にくると、伊織は憂鬱だった。雪の日の常磐御前に、眼をしばたたき、鞍馬の遮那王牛若が、僧正ヶ谷で、夜ごと、天狗から剣法をうけて、京を脱出するところへくると、