Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
駈けて来たのは、武蔵だった。
「おう、違う違う。法典ヶ原の御牢人だ」
彼らは、将を迎える従卒のように、道の両側へ身を交わして、武蔵の朱にまみれた姿と、手の血刀を見まもった。
血刀の刃は鋸のように刃こぼれしていた。武蔵はそれを捨てて、落ちている賊の槍を拾った。
「賊の死骸が持っている刀や槍を、おまえたちも拾って持て」
彼がいうと、土民の若者たちは、われがちに武器を拾った。
「さ、これからだ。おまえ達は力を協せて、自分の村から賊を追い払え。自分の家と家族を奪り戻しに行け」
そう励ましながら、武蔵は先頭に駈け出した。
もう怯んでいる土民は一人もなかった。
女や老人や子供までが、得物を拾って、武蔵の後から走って行った。
村へはいると、昔ながらの大きな農家が、今、熾に燃えていた。土民の影も、武蔵の姿も、木も道も、真っ赤に見えた。
家を焼いた火が竹林へ燃えついたとみえ、青竹の爆裂する音が、パンパンと、炎の中で凄まじくはねている。
また、何処やらで、嬰児のさけび声がする。火を見て狂う牛小屋の牛の唸りも物凄い。――しかし、降りしきる火の粉の中には、一人も賊の影が見えなかった。