Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
土匪は来なくなった。村の者は気をそろえてよく働き出した。若い者の親たちや女房たちは、武蔵を神のように慕い、草餅や初物の野菜ができると、小屋へ運んで来た。
(来年は、田も畑も、この倍になるぞ。その次の年には、三倍になる)
と彼らは、土匪征伐と村の治安に信念を持つと共に、荒地の開墾にも、すっかり信念を持った。
その感謝の溢れから、村民たちは、一日仕事を休んで、小屋へ酒壺をかついで来た。そして、武蔵と伊織を取り巻いて、里神楽の太鼓や笛をあわせて青田祭りをしたのであった。
その時、武蔵がいった。
「わしの力じゃない。おまえ達の力だ。わしはただ、おまえ達の力を引出してやっただけのものじゃ」
そして、その祭りに来あわせていた徳願寺の僧へ、
「わしの如き、一介の漂泊士を、皆が頼りにしていては、末が心もとない。――いつまでも、今の信念と一致が縒の戻らぬように、これを、心の的としたがよかろう」
と、一体の木彫の観世音を包みから出して授けた。
その翌朝――来てみると武蔵はもう小屋にいなかった。伊織を連れて、行く先も告げず、夜明け前に、何処かへ旅立ったものと見え、旅包みもなかった。