Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

と、木戸口から送った。

伊織は後から尾いて来て、

「先生、なぜ侍だけ、あんなにやかましいんだろ」

「敵方の間者に備えてであろうな」

「だって、間者なら、牢人のふうなんかして、通るもんか。お役人って、頭がわるいね」

「聞えるぞ」

「たった今、渡船が出ちまったよ」

「待つ間に富士でも眺めておれというのだろう。――伊織、富士が見えるぞ」

「富士なんて、めずらしくないや。法典ヶ原からだって、いつも見えるじゃないか」

「きょうの富士はちがう」

「どうして」

「富士は、一日でも、同じ姿であったことがない」

「同じだよ」

「時と、天候と、見る場所と、春や秋と。――それと観る者のその折々の心次第で」

「…………」

伊織は、河原の石を拾って、水面を切って遊んでいたが、ひょいと跳んで来て、

「先生、これから、柳生様のお屋敷へ行くんですか」

「さあ、どうするか」

「だって、あそこで、そういったじゃないか」

「一度は、行くつもりだが……先様は、大名だからの」

「将軍家の御指南役って、偉いんだろうね」

「うむ」

「おらも大きくなったら、柳生様のようになろう」

「そんな小さい望みを持つんじゃない」

「え。……なぜ?」