Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
秩父の熊か狼か分らないが、なにしろ獰猛そうなのが、その中に二、三人いる。
その手輩に睨まれて、伊織はあわてて帰って来た。武蔵は、手枕の肱へ薄く眼をつぶって眠っている。その裾に西陽もだいぶ陰って、足の先と、襖の端の残り陽に、大きな蠅が真っ黒にたかっていた。
起してはいけないと思って、伊織はそのまま黙って、また往来を視ていた。――しかし、隣の部屋の喧しさは前と少しも変りはない。
こちらから持って行った抗議の衝動をうけて、賭博の紛争は沙汰止みになったらしいが、その代り今度は団結して、無礼にも、境のふすまを細目に開けて覗いたり、暴言を放ったり、嘲笑ったりしているのだった。
「ええこう、どこの牢人か知らねえが、江戸の真ン中へ風に吹かれて来やがって、しかも博労宿にのさばりながら、うるせえもねえもンじゃねえか。うるせえなあ、おれっちの持ち前だ」
「つまみ出しちまえ」
「わざと、ふてぶてしそうに、寝ていやがるぜ」
「侍なんぞに、驚くような骨の細い博労は、関東にゃいねえってことを、誰か、よく聞かして来いよ」
「いっただけじゃだめだ、裏へ抓み出して、馬の小便で顔を洗わせちまえ」