Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
――今なら、そこの河端に、上げ汐に乗って、うんとこさと魚が来て跳ねているので、いくらでも釣れるでな、釣ったら晩のお菜を分けて上げるから、釣竿があったら貸して下され」
と、いった。
すると耕介は、他にも、機嫌のわるいものが胸にあったところとみえて、
「わしの家には、殺生をする道具などはないっ。ほかで借りたがいい」
と、呶鳴った。
近所の男は、びっくりしたように行ってしまった。――そして後は、武蔵を前に、苦りきっているのであった。
だが、武蔵は、漸くこの男のおもしろさを見出していた。そのおもしろさというのは、才や機智のおもしろさではない。古い陶器に見立てていうならば、巧みも見得もない土味を剥き出しに、どうなと見たいように見てくれとしているノンコウ茶碗か唐津徳利みたいな味の男だった。
そういえば、耕介の横びんに薄禿があって、鼠に齧られたような腫物に、膏薬が貼ってあるところなど――窯の中で傷になった陶器の自然のくッつきとも見えて、一だんと、この男の風情を増して見えないこともない。
武蔵は、こみあげて来るおかしさを、顔には見せぬ程に和んで、
「御主人」
と程経ていった。