Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

「ばかをいえ。今から、麻布村まで行ったら、夜が明けてしまうぞ」

「かまわないよ」

「よせよせ、麻布ほど、狐のよく出る所はない。狐にでも化かされたらどうするか。――木村様を知ってるのかおまえは」

「わたしの先生が、よく知っているんです」

「どうせ、こう遅くなったんだから、米倉へでも行って、朝まで、寝てから行ったらどうだ」

伊織は、爪を噛んで、考えこんでしまった。

そこへ蔵役人らしい男も来て、仔細を聞くと、

「今から、子供一人で、麻布村へなど行けるものか。辻斬りも多いのに――よく博労町から一人で来たものだな」

と、つぶやき、門番と共に、夜明けを待てとすすめてくれた。

伊織は、米倉の隅へ、鼠のように、寝かしてもらった。しかし彼は、余りに米が沢山にあるので、貧乏人の子が黄金の中へ寝かされたように、少しとろとろとすると魘れていた。

四

寝るともう直ぐ、正体もない顔つきは、伊織も、まだやはり他愛のない少年でしかない。

蔵役人も、彼を忘れてしまい、門番からも忘れられて、米倉の中にぐっすり眠り込んだ伊織は、翌る日の午も過ぎた頃、

「おや?」

がばと、醒めるなり直ぐ、

「たいへんだ」