Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
そこで彼はまたふところから門番にもらった絵図を出し、ためつすがめつ、
(はてな?)
と、小首を傾げた。
何だか、自分のいる位置と絵図とが、ちっとも、符合しないのだ。絵図を見れば、道が分らなくなり、道を眺めると、絵図が分らなくなる。
(変だなあ)
よく陽のあたる障子の中にいるように、辺りは陽が暮れるほど反対に、明るくなって来る気がするが――それへ薄っすらと夕靄がかかって、眼をこすってもこすっても、睫毛の先に、虹みたいな光が遮ってならなかった。
「けッ! こん畜生っ」
何を見つけたか。
伊織は、やにわに跳ね飛んで、いきなり後ろの草むらを目がけ、いつも差している野刀の小さいので抜き打ちに斬りつけた。
ケーン!
と、狐が躍った。
草と、血とが、虹いろの夕陽の靄に、ぱっと舞った。
六
枯れ尾花のように、毛の光る狐だった。尾か脚かを、伊織に斬られて甲だかい啼き声を放ちながら征矢みたいに逃げ走った。
「こん畜生」
伊織は、刀を持ったまま、やらじとばかり追いかける。狐も迅い、伊織も迅い。
傷負の狐は、すこし跛行をひく気味で、時々、前へのめる様子なので、しめたと思って、近づくと、やにわに神通力を出して、何間も先へ跳んでしまう。