Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
柳生兵庫は、門生たちの中に交じっているが、宗家石舟斎の孫にあたり、但馬守からは甥にあたるので、ひとり別格な、そして自由な立場にあった。
大和の柳生本家に対して、ここはまた、江戸柳生と称されていた。そして本家の石舟斎が、最も可愛がっていたのは、孫の兵庫なのだった。
兵庫は二十歳を出ると間もなく、加藤清正に懇望されて、破格な高禄で、いちど肥後へ召抱えられてゆき、禄三千石を喰んで熊本へ居着くことになっていたが――関ヶ原以後の――いわゆる関東お味方組と、上方加担の大名との色わけには、複雑極まる政治的な底流があるので去年、
(宗家の大祖父が危篤のため)
というよい口実を得た折に、いちど大和へ帰り、その以後は、
(なお、修行の望みあれば)
と称して、それなり肥後へ帰らず、一両年のあいだ諸国を修行にあるいて、去年からこの江戸柳生の叔父の許に、足をとめている身であった。
その兵庫は、ことし二十八歳であった。折から、この但馬守の屋敷には、お通という一女性も居合わせた。年頃の兵庫と、年頃のお通とは、すぐ親しくなったが、お通の身の上には複雑な過去があるらしいし、叔父の眼もあるので、兵庫はまだ、叔父にも彼女にも、自分の考えは、一度も口に出したことはなかった。