Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「じゃあ、その父母恩重経とやらを、生涯に千部写して、千人に頒けてやる気か」
「一人に菩提の胚子をおろせば、百人の衆を化し、百人に菩提の苗を生ずれば、千万人を化すともいう。わしの悲願は、そんな小さいものじゃない」
と、お杉はいつか筆を擱いてしまって、傍らに重ねてある写し終りの薄い写経五、六部のうちから一冊をぬいて、
「――これを其方に与えますから、暇のあるたびに誦んだがよい」
と、恭しく授けた。
お菰は、ばばの真面目くさった顔に、ぷッとふきだしかけたが、鼻紙のように懐中へねじこむわけにもゆかず、写経を額に当てて、ちょっと拝む恰好をしながら、
「ところで」
と、身を交わすように、急に話のほこをすげ替えた。
「――おばば、てめえの信心が届いたか、今日、外出の先で、おれはえらい奴に出ッ会わしたぜ」
「何。えらい者に会ったとは」
「おばばが、仇とねらって探している、宮本武蔵という野郎よ。――隅田川の渡船から降りた所で見かけたんだ」
二
「えっ、武蔵に出会ったと?」
聞くと、ばばはもう、写経どころではない。机を押しやって、
「して、どこへ行きましたぞえ。その行く先を、突き止めてくれたかよ」