Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
噫、吾れ汝を……
「もう、おらあ、おらあ……誦めねえから、誰か誦んでくれ」
経を抛って、誦み人の男は泣きだしてしまった。
ひとりとして、声を出す者がない。横になっている者も、仰向けにひっくり転っている者も、胡坐の中へ鴨のように首を突ッこんでいる者も――
同じ部屋の、すぐ向うの組では、勝った敗けたの賭け事に、慾の餓鬼が修羅のまなじりを吊りあげているかと思えば――ここの一組は、がらにもない無法者が、しゅくしゅく啜り泣いている。
その奇妙な部屋を見まわしながら入口に立って、
「半瓦は、まだ旅先から帰らぬのか」
佐々木小次郎が、ぶらりと訪れて、姿を見せた。
血五月雨
一
一方では、賭け事に熱中しているし、ここでは皆、沈みこんで泣いているし、返辞をする者もないので、小次郎は、
「これ、どうしたのだ」
両腕で顔をおおい、仰向けに寝ている菰の十郎のそばへ立つと、
「あ。先生で」
菰も、他の者も、あわてて眼を拭いたり洟をかんだりして起上がり、
「ちっとも、存じませんで」
と、間が悪そうに、揃って辞儀をする。
「泣いておるのか」
「いえ、なあに、べつに」
「おかしな奴だの。――稚児の小六は」