Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「行んで来るぞよ」
と、生ける人へいうように、しばらく、瞑目していた。
おそらく旅で死んだ、河原の権叔父へ告げているのであろう。
障子を細目に、菰の十郎は、そっと覗いて、
「おばば、まだか」
「支度かの」
「もう、よさそうな時刻だから――小次郎様も待っている」
「いつでもよいがの」
「いいのか。じゃあ、こっちの部屋へ来てくれ」
奥では、佐々木小次郎と、お稚児の小六、それに菰の十郎を加えて、こよい助太刀三名、疾くから身支度して待っていた。
ばばのために床の間の席は空けてあった。ばばはそこへ備前焼の置物みたいに硬くなって坐った。
「門出の祝いに」
と、三方の土器をとって、お稚児は、ばばの手に持たせ、銚子を把ってそっと酌ぐ。
次に小次郎。
順に飲みわけて――ではと四名はそこの灯を消して立ち出でた。
おれも、てまえもと、こよいの途に、気負って助太刀をいい出した乾児も多かったが、多人数はかえって足手まとい、それに夜とはいえ、江戸の町なか、世上の聞えもあるからと、それらの希望は小次郎が退けたのであった。
「お待ちなすッて」
と、門を踏み出す四名の背なかへ、乾児のひとりが、カチカチと切火を磨った。