Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「十郎は、どうした。……お菰は」
「お菰も」
「なにっ」
見れば、そこから五、六間離れたところに、もう虫の息となっているお菰の十郎の朱にまみれた体が見出された。
見えないのはお杉ばばの影である。
だが、それを探す眼の遑もなかった。小次郎自身が、自身の警戒にそそけ立っているのだ。八方の闇がみな、武蔵のすがたである如く、彼の五体には構えを要した。
「小六、小六」
ことぎれかかるお稚児へ、彼は早口に呶鳴って、
「武蔵は――武蔵はどこへ行ったか。武蔵は?」
「ち、ちがう」
小六は、上がらない首を、地で振りながら、やっといった。
「武蔵じゃねえ」
「何」
「……む、武蔵が、相手じゃねえのです」
「な、なんだと?」
「…………」
「小六っ、もういちどいえ。武蔵が相手ではないというのか」
「…………」
お稚児はもう答えなかった。
小次郎の頭は、もんどり打ったように掻き乱れた。武蔵でなくて誰が、一瞬にこの二人を斬って捨てたか。
彼は、こんどは、菰の十郎の仆れているそばへ行って、血でびしょ濡れになっている襟がみをつかみ起した。
「十郎っ、確乎りせいっ。――相手は誰だ、相手は、どっちへ行った?」