Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
屯のように悪くいった。
それを、潔しとしない者だの、父勘兵衛景憲の病気や、甲州流の衰微を見て、長沼流へ移ってゆく者だの――いつのまにか門前はさびれてしまい、近頃では内弟子のほんの雑用をする者が二、三止まっているきりだった。
「……父にはいうまい」
彼は、すぐそう心に決めた。
「――後は後のことだ」
とにかく、老父の重病に手を尽すことが、子としては、今は最善なつとめだと思う。
しかし、その恢復は、到底、覚つかないことだとは、医者からもいわれていることだった。
――後は後のこと。
と、そこで悲しい我慢が胸をさするのだった。
「余五郎っ。余五郎っ」
奥の病室から、こう父の声がその時聞えた。
子の眼からは、今にもと危ぶまれる病父も、何かに激して、子を呼ぶ時の声は、病人とも思われなかった。
「――はいっ」
あわてて、余五郎は、駈けて行った。
そして次の間から、
「お呼びですか」
ひざまずいて見ると、病人はいつも寝くたびれた時するように、自分で窓をあけ、枕を脇息にして、床のうえに坐っていた。
「余五郎」
「はい。ここにおります」
「今――門の外へ行った武士があったな。――この窓から、後ろ姿だけを見たのだが」