Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

と、善後策を思う途端に、彼の名が誰の頭にも呼び起されていたのだった。

――御影附近というだけで何も分らなかったが、即日、門下の中から五、六名の者が兵庫へ立ち、ようやく伝七郎をさがし当ててこの早駕へ乗せたのだった。

平素、不仲な兄とはいえ、吉岡の名を賭して立合った試合に、兄が瀕死の重傷と敗北の汚名をうけて、今わずかに生死の境にある口から(弟に)と、会いたいような言葉を洩らしたと聞くと、伝七郎は一も二もなく、

(よし、行ってやる)

と、駕に身をまかせ、

(早く、早く)

と叱咤するので、駕かきの肩を乗りつぶし、もうここまでの間に三度か四度も、駕屋を雇い代えたほどだった。

それほど急き立てるくせに、伝七郎は立場立場へかかると、竹筒の中へ酒を買わせた。非常に感情が昂ぶっているらしいので、それを慰めるためかも知れないが、ふだんでも大酒なほうだ。それに寒い淀川のふちや田圃の風に曝されて駕は飛ぶので、いくら飲んでも酔わないような気がしているのであろう。

生憎とまた、その酒が竹筒に切れたので、伝七郎は焦々したらしい。――急げっと昂ぶった声を合図に竹筒を捨てたが、駕かきの男も門人達も、何へ不審を起しているのか、松風の闇の彼方へ、