Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
五
だが遂に、その力も尽きたように、お通は、
「城……城太さん」
なにか、いいかけたと思うと、彼の引っ張っていた杖の先を離して、沢の石ころや草叢の中に、蹌りと、音もなく俯つ伏してしまった。
削ったように細い両手の指が、口と鼻を抑えたまま、肩で戦慄しているので、
「ヤ! 血、血でも吐いたんじゃないか。……お通さん! ……お通さん……」
城太郎も泣き声出して、彼女の薄い胸を抱き起した。
五
かすかにお通は顔を横に振った。地に俯つ伏したままにである。
「どうしたの。どうしたのさ」
おろおろと、城太郎は彼女の背中を撫でていたわりながら、
「苦しいの」
「…………」
「そうだ、水かい、お通さん、水が欲しかないかね」
「…………」
お通はうなずいて見せた。
「待っといで!」
辺りを見まわして、城太郎は突っ立った。山と山の間のゆるい沢道である。水音は方々の草や木を潜って、ここにある、ここにある、と彼に教えているように聞える。
だが、そう遠くまで駈けなくても、すぐ後ろに草の根や石塊の下から湧いている泉がある。城太郎は跼み込んで、両手に水を掬おうとした。
「…………」
水はよくよく澄んでいて、沢蟹の影も見えるくらいだった。