Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
五
「お通さん、お通さん、この樹の下だと朝露がなくっていいよ。ここへお出でよ、ここへ腰かけよう」
と、手招きした。
二本の巨きな合歓の樹の下だった。
五
倚り合っている二本の喬木の下に腰をおろして、
「なんの樹だろ?」
城太郎がいう。
お通も、眸を上げながら、
「合歓の樹です」
と教える。そして、
「わたしや武蔵様が、まだ幼い時分によく遊んだことのある、七宝寺というお寺の庭にも、この樹がありましたっけ。六月ごろになると、糸のような淡紅色の花が咲いてね、夕月が出るころになると、あの葉がみんな重なり合って眠ってしまう」
「だから、ねむの木というのかしら」
「でも、文字で書くと、眠という字は書きません、合い歓ぶと書いて、合歓と訓むんですの」
「どうしてだろ?」
「どうしてでしょうね。きっと誰かが拵えた当字でしょう。……だけど、この二本の樹の姿を見ると、そんな名がなくても、いかにも歓び合っているといったような姿じゃありませんか」
「樹なんか、歓ぶも悲しむも、あるもんか」
「いいえ城太さん、樹にも心があるんです。よく御覧、この山の樹々のうちにも、よく見ると、独り楽しんでいる樹もあるし、独り傷ましそうに嘆いている樹もある。