Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
草雲雀
一
それは、大和の柳生の庄のはたご屋に泊った時、はたごの小茶ちゃんという少女と、馬糧小屋のわらの中で、抓ったり、かじりついたりして、ただ狆ころのように、人の跫音を恐れるおもしろさを味わった――あの経験であった。
「行こうッ――と」
すぐ、つまらなくなって、城太郎は駈けだした。駈けながら、たった今、あの世のてまえまで行った魂を、この世に遊ばせて歌いだした。
野なかの、野中の
金ぼとけ
十六娘をしらないか
迷った娘を知らないか
打っても、カーン
訊いても、カーン
草雲雀
一
帰る旅籠は、分りきったつもりでいたらしいが、向う見ずに飛んで来るうちに、
「おや、違ったかな?」
城太郎は初めて、自分の駈けている道に、疑いを抱き、前や後ろを見まわして、
「来る時には、こんな所は歩かなかったぞ」
と、やっと気がついたような顔つきである。
この辺には、古い砦の蹟を中心に、一廓の武家町がある。砦の石垣は、かつて他国の軍に占領されて、ひどく壊されたまま荒れているが、一部を修復して、今ではこの地方を支配する大久保長安の役宅か住居になっている模様である。
戦国以後に発達した平城とちがい、極めて旧式な――土豪時代の砦なので、濠も繞らしてないし、従って城壁も見えない。