Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
二
「仙台家へ仕える程なら……」
武蔵は、自尊をもつ。
たとい修行に疲れ、食に渇いて、露衣風身の漂泊いに行き暮れていても、
「おれは」
と、そのことを考えると、微笑がわいてくる。彼の大きな希望は伊達公六十余万石を挙げて迎えてくれても、まだ、満足とはしないに違いなかった。
「……おや?」
ふと、足の下で、大きな水音がしたので、武蔵は踏みかけた土橋に立ち止って、暗い小川の窪を覗きこんだ。
二
なにか、ばちゃばちゃと水音をたてている。まだ野末の雲が赤いだけに、川崖の窪はよけいに暗く、土橋の上に佇んだ武蔵は、
「河獺か?」
と、眼を凝らした。
しかし、彼はすぐ、幼い土民の子を、そこに見出した。人間の子とはいいながら、河獺と大差のない顔をしていた。怪しむように、その子は土橋の上の人影を下から見上げている。
そこで武蔵が、声をかけた。子供を見ると言葉をかけたくなるのは、彼には、いつものことで、特に理由のあることではない。
「子ども、何しているのだ」
すると土民の子は、
「泥鰌」
とだけいって、またざぶざぶ小笊を小川に浸して振っていた。
「あ、泥鰌か」
なんの意味もないこんな会話も、この曠野の中では親しくひびく。