Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「たくさん捕れたか」
「もう秋だから、そういないけど」
「拙者に少し分けてくれぬか」
「泥鰌をかい?」
「この手拭にひとつかみほど包んでおくれ。銭はやる」
「折角だけど、きょうの泥鰌は、お父さんに上げるんだから遣れないよ」
笊を抱えて小川の窪から飛びあがると、子供は、野萩の中を栗鼠みたいに駈け去ってしまった。
「……迅こい奴」
武蔵は、取残されたまま苦笑をうかべていた。
自分の幼い時の姿が思い出された。友達の又八にもあんな時があったなあと思う。
「……城太郎も、初めて見た頃は、ちょうどあのくらいな童だったが」
――さて、その城太郎はその後どうしたろうか。何処に何をしていることぞ?
お通と共に迷れてから、その年から数えれば足かけ三年目――あの時十四、去年で十五、
「ああ、もうあれも、十六歳になる」
彼はこんな貧しい自分をも、師とよび、師と慕い、師として仕えてくれた。――だが自分は彼に何を与えたか。ただ、お通と自分とのあいだに挟まりながら、旅路の苦労をさせたにすぎない。
武蔵はまた、野中に佇んだ。
城太郎のこと、お通のこと、さまざまな追憶に、しばらくつかれを忘れて歩いていたが、道はいよいよ分らない。