Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
蠅
一
と、博労でない客の武蔵を、ここの旅籠では少し持ち扱い気味。
勿体ない、きのうまでの開墾小屋の生活から較べれば、ここはこれでも畳のうえ。――にも関らずつい、
(ひどい蠅だなあ)
と呟いたのが、気にでも障ったふうに、旅籠のかみさんの耳にはいったものとみえる。
だが――好意のままに、武蔵と伊織は、表二階へ移った。ここはまた、かんかんと西陽が映している。――すぐそう思うだけでも、気持が贅沢に変っているのだと思いながら、
「よしよし。ここでいい」
と、独り宥めて落着いた。
ふしぎなのは人間をつつむ文化の雰囲気である。つい昨日までいた開墾小屋では、強い西陽は苗の育ちを思い、あしたの晴朗な気が卜されて、この上もない光明であり希望であった。
汗の肌にたかる蠅を、土に働いている時は気にもならないし、むしろ、
(おまえも生きているか。おれも生きて働いているぞ)
といいたいくらい、自然の中に生命を持つ友達にさえ思えるのに、大河を一つ越えて、この熾な勃興都市の一員となるとすぐ、
(西陽があつい。蠅がうるさい――)
などという神経と共に、
(なんぞ美味い物でも喰いたいなあ)
と、思う。