Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
母も雲――父も雲――兄弟も友達も雲よりしかないと思っているような――孤児の生い立ちの中に、いつのまにか、育くまれていた、この冷たさに違いない。――又八はそう思った。
そう考えたので、彼は彼女のそばへそっと寄って、棘のある白薔薇へ触るように、
「……やり直そう」
頬へささやいた。
「……ね、お通。――返らない年月を呼んでみたって始まらないじゃないか。これから二人して、やり直そう」
「又八さん、あなたはどこまで考え違いをしているのですか。私のいっているのは、年月のことではありません、心のことです」
「だからさ、その心を、おれはこれから持ち直すよ。自分でいいわけしても変だけれど、おれがやった過ちぐらいは、若いうちは誰にだってあり勝ちな話じゃないか」
「どう仰っしゃっても、私の心はもうあなたの言葉を本気で聞こうといたしません」
「……わるかッたよ! こんなに男が謝っているのじゃないか……え、お通」
「およしなさい、又八さん、貴方もこれから男のなかへ生きてゆく男でしょう。こんなことに……」
「でも、おれには、生涯の重大事だ。手をつけというなら手をつく。おまえが、誓いを立てろというなら、どんな誓いでもきっと立てる」