Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
京極の原に、市が立っていた。彼はそこへも行って、
(蜜柑はないか、蜜柑はないか)
と、捜し歩いたが、絹糸だの、木綿だの、油だの、毛皮だの、そんな店ばかり出ていて、蜜柑など一つだって見つからなかった。
城太郎は、どうかして、彼女の喰べたいという蜜柑を手に入れたいと思った。よその屋敷の塀の上にたまたま、その蜜柑があったと思って、盗んでもほしい気がして寄って見ると、それは橙であったり、喰べられない花梨の実であった。
京都の町を、半分も捜してあるいた。すると、あるお社の拝殿にその蜜柑が見つかった。芋だの人参だのといっしょに、三方に載って、神前に上がっていたのである。城太郎は蜜柑だけ懐中に詰めこんで逃げて来たのだった。うしろから神様が、
(泥棒、泥棒)
と追いかけて来るような気持がした。城太郎は、それが怖くなって、
(私は喰べませんから、罰をあてないでください)
と、烏丸家の門の中へ逃げ込むまで、胸の中で謝っていた。
けれど、お通には、そんなことは話せない。枕元へ坐って、懐中の蜜柑を出して一つずつならべて見せ、そのうちの一個を取ってさっそく、
「お通さん、うまそうだぜ、喰べてごらん」