Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
――そう気づいて、武蔵が足を早めだした時であった。
この枯野に、なにを探しているのか、草むらの中にうずくまって、土を掻き分けていた老媼が、彼の跫音にふと顔をあげ、
「オ、ほ? ……」
驚いたような眼をみはった。
枯草と同じような淡い無地の着物をその老媼は着ていた。綿のふっくら入っている胴衣の紐だけが紫色なのである。俗服を着てはいるが、円い頭には頭巾をかぶり、年もはや七十頃であろう、どことなく上品で小がらな尼さんなのだった。
「……?」
武蔵も実はびっくりしたらしかった。道もない草むらだし、まるで野面と同じような色をしているこの年老った尼さんのからだを、もすこしうっかりしていたら、あぶなく踏みつけたかも知れないからである。
「……おばあさん、なにを採っているんですか」
人懐かしい武蔵の気持だったのである。こう、彼はやさしいことばのつもりで話しかけた。
「…………」
老尼は、そこへ屈みこんだ、武蔵の顔を見てふるえていた。
南天の実を聯ねたような珊瑚の数珠が袖口の手にちらと見える。そして、その手には、草の根を掻きわけて探した、まだ若い嫁菜だの、蕗のとうだの、いろいろな菜根が小笊の中へ摘みこまれて持たれていた。